パブリックコメント「知的財産推進計画2007」の見直しに関する意見募集

 話題の「知的財産推進計画2007」の見直しに関する意見募集に拙文を送りましたので記録しておく。

(63-64頁)
「(5)著作権法における親告罪を見直す」について
 親告罪非親告罪化は、告訴が権利者のみが可能な「特権」であったのに対し、何人も告発が可能となると権利者の主体的な著作権の行使を制限する結果を招き、結果的に権利者の権利を損なうこととなる。
 また、権利者と権利侵害者との円満な問題解決に、第三者が告発によって介入し問題を複雑化する懸念がある(例えば、インターネット上の違法送信について、権利侵害者に対し電子メールにて警告を行い、権利侵害者の当該違法送信の停止により問題解決する場合がある)。
 自らにとって不都合な相手(政治的、社会的、個人的に)に対し、特定の言論を封じ込めるなど不利益を与える為のみの恣意的な告発を招く懸念がある。
 以上より、非親告罪の範囲拡大を実施すべきでない。


(90頁)
「(3)違法複製されたコンテンツの個人による複製の問題を解決する」について
 インターネットの特性上、利用者が意図しないインターネット上の違法送信からの複製(コンピュータウイルスの感染被害や一時ファイルへの複製など)が現に発生している。
 また、インターネット上における個々の送信に限らず個々の著作物の適法性の判断が、利用者にとって困難な場合が少なくない(著作権者の特定さえ困難な場合もある)為、利用者が違法送信からの複製を防ぐには全く複製を行わない行動を取らざるを得ない(適法と偽り、違法送信を行うサイトも存在する為)。
 インターネット上の違法送信からの複製を私的複製の許容範囲から除外するのは、個人の著作物の利用を過度に萎縮させる結果を避けられないので実施すべきでない。


(94頁)
「(6)利用とのバランスに留意しつつ適正な保護を行う国内制度を整備する」について
 「映画の著作物」の保護期間を公表後70年に延長した理由として他の著作物の著作権保護期間との不均衡の是正が挙げられているが、他の著作物の著作権保護期間を70年間に延長をすれば不均衡が再び生じ、「映画の著作物」の保護期間延長の意味を失うので、保護期間の延長は行うべきでない。