テレビCMにおける「神は乗り越えられる試練しか与えない」の暴力性

セブンイレブンの某CM。https://cam.sej.co.jp/cp/CAPC070.do

私の記憶の限りでは、主人公が自分自身を叱咤激励する文脈で用いられたものである。具体的には、主人公の声によるナレーションの部分であって、作中で声に出して他者に向かって言い放った内容ではない。

自身に向かってであれば許容範囲だが、他者に向かって「神は乗り越えられる試練しか与えない」と言うのは横暴。乗り越えられなかった人々の存在を無視し、かつ、乗り越えられたかの判定が恣意的。

「試練」とやらが存在すると仮定をしても、死亡により「試練を乗り越えられなかった」人々の声は「黙殺」される。また、死にさえしなければ、いかに酷い状態であっても、恣意的に閾値が設定され、「試練を乗り越えられた」と勝手に見なされる。仮に、多額の借金により家庭崩壊、職も失い路上生活者になったとしても、生きているからと「数々の試練を乗り越えられた」ものと見なされる(←笑)

作中の「神は乗り越えられる試練しか与えない」の部分を切り取ってCMに使用したのは問題。これは、震災とは関係なく、普遍的に問題である。